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パリオリンピック2024:セーヌ川の水質問題を現地目線で振り返る

競技当日のセーヌ川

2024年パリオリンピックの大きな話題の一つは、セーヌ川でのマラソンスイミング競技です。メディアでは数か月に渡る水質検査の結果が報じられていますが、現地の状況はどうだったのでしょうか?この記事では、私が直接セーヌ川の岸辺から見たリアルな状態と、そこで感じたことをみなさんにお伝えします。興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

セーヌ川の水質問題:オリンピック前の懸念

2024年4月から定期的に行われたセーヌ川の水質検査は、大腸菌と腸球菌が検出され、7月末になっても不合格という事態になりました。

7月26日の開会式から翌日にかけて降った雨の影響もあり、競技自体もいったん延期措置が取られました。天気予報には載らない一過性の通り雨などもあり、延期措置の後はついに、競技の開催場所を変える案まで浮上しました。

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競技当日:セーヌ川の状況

ようやく晴れの日が続き、水泳マラソン競技日の直前の水質検査になんとか合格することができました。

そして8月8日には、女子マラソンスイミングが行われることになりました。沿道や川岸には無料観覧スペースも確保されていて、当日セーヌ川で行われる競技を見に来る観客も大勢集まりました。

レースのあと、具合の悪くなる選手も出ましたが、地元報道では細菌感染よりも脱水が原因であると報じられました。しかし、フランス国外の報道では、競技の安全性に疑問を投げかける声が多く、開催前に危ぶまれていた水質問題に対する懸念がより強くなりました。

翌日8月9日、男子マラソンスイミングが行われました。

このレースでは、直前に棄権する選手や、途中で競技を断念する選手が続出しました。セーヌ川の水質問題が国際社会で大きな注目を集め、その深刻さが世界に発信されることになりました。

セーヌ川:沿道からの応援

早朝のスタートにもかかわらず、多くの人が応援に集まりました。

テレビでは選手にスポットを当てた実況をしますが、沿道からでは、セーヌ川を泳ぐ選手たち全員に声援を送っているように感じました。

最後尾の選手が目の前を通り過ぎるたびに、大きな歓声や応援が送られているのが印象的でした。

セーヌ川:競技を終えて

水質検査の合格は正直、驚きました。

不合格になる水準を数か月間推移していたことを考えると、おそらく水質にはムラがあった可能性も否定できません。

しかし、パリオリンピックがセーヌ川で開催されたという事実は、パリ市とオリンピックの歴史に大きな成果として刻まれました。

水質問題は世界中の注目ですが、現地で応援していると現場の空気はまるで違いました。

批判の雰囲気は一切感じられず、セーヌ川を泳ぐ選手たちに対して、沿道からは国境を越え、自国の選手だけでなくすべての選手へ温かい拍手と応援が送られていました。

レースの結果を超えて、メダルの色などどうでもよくなるほど、会場は家族の様な空気に包まれていて、人々を勇気づける『応援の素晴らしさ』が感じられる大会でした。

当日のセーヌ川は通常の青い色をしたセーヌ川ではなく、少し緑がかった色のセーヌ川でした。

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