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パリのスクーター文化:なぜ路上駐車でバイクカバーをかけないのか?

カバーをかけないバイク置き場

パリはスクーター文化が根強く、”バイク”と言えば、多くの場合”スクーター”を指します。この地で大きめのスクーターに乗る人が目立つのは、体格の大きな人々が多く、足つき性を気にせずに済むためかもしれません。

一方、日本で人気の原付二種免許を持つバイク、たとえばPCXのようなモデルは、パリでは珍しい光景です。

さらに、バイクにカバーをかけているのを見かけることは稀で、雨や雪が降っても気にする様子はあまりありません。

目次

フランスのバイク免許の種類

フランスでは、バイクの免許制度が日本とは異なり、多様なライセンスが存在します。

A1ライセンス

A1ライセンスは16歳から取得可能で、125ccまでのバイクに乗れる点で、日本の普通二輪免許小型限定と似ています。

A2ライセンス

A2ライセンスは、より大きな出力のバイク、例えばNC750X DCTやForza 750に乗ることができ、日本の中型二輪免許よりも広い範囲のバイクにアクセスできます。

ライセンスA

20歳から、A2ライセンス保持者2年以上+義務教習7時間以上が対象。

最終的には、ライセンスAを取得することで、どんなバイクも運転可能になります。

Bライセンス(7時間講習付き)

20歳から、最低2年以上のBライセンス保有者+7時間の義務教習。

Bライセンス保有者は、追加の講習を受けることで125ccのバイクを運転できるようになります。

パリのスクーター

エプロン

パリのスクーター文化において目立つのは、エプロンと呼ばれるオプション品の普及です。

ライセンスの種類を問わず、冬場に足元を暖かく保つため、または年間を通して使用する目的で、多くのライダーがこのアクセサリーを選択しています。

この習慣は、風が少ないパリではハンドルカバーよりも足元を暖めることが優先される文化的特性を反映しているかもしれません。

実際、パリでは足元を暖めるためのカスタムが主流であり、エプロンを装着していながらハンドルカバーを使用していないバイクも珍しくありません。

フランスのYAMAHAメーカーサイトでは、エプロンはトリシティなどのスクーターの装備品として正式に紹介されていますが、日本のYAMAHAではそのようなオプションは提供されていません。

この違いは、地域に根ざしたニーズと気候条件が異なるためであり、パリではエプロンがカバーを使用しない文化の一部を補っていると考えられます。

バイクカバーは売られているが、カバーはかけない。

パリでのバイクカバーの使用状況は、日本と顕著に異なります。

日本では、屋外駐車のバイクの大多数が日焼け防止、盗難防止、いたずら防止、そして雨除けのためにカバーを装着しています。

しかし、パリを歩いてみると、この文化が存在しないことがすぐに明らかになります。

実際にバイクカバーを使用しているバイクを見つけることは稀で、およそ100台に1台見るか見ないかという印象を受けます。

この観察は、パリにおけるバイクカバーの使用が非常にレアであることを示唆しています。

一因として、パリではバイクが日常的に頻繁に使用されるため、カバーの着脱が面倒と感じられる可能性があります。

また、カバーを保管する場所の不足も、使用率の低さに影響しているかもしれません。

この状況は不思議に思えるかもしれませんが、実際には大手バイクメーカーのウェブサイトでバイクカバーが販売されているにも関わらず、実際にはほとんどの人がそれを選択していないことが確認できます。

さらに、パリではバイクカバーを装着すると、むしろ目立ってしまうため、避ける人もいるようです。

これは、日本とは異なる、パリ独自の社会文化的側面を反映している可能性があります。

パリは日本のスクーターも多い

パリにおいては、日本製のスクーターが目立つ存在です。ここでは、特にがっちりとした構造のバイクが好まれる傾向にあります。スクーターはサイズが大きくなるほど、装備の充実度、シートの質の向上、そして乗り心地の良さが増していきます。これらの大型スクーターは、パリの不整地や急勾配にも対応し、高い安定性を提供します。

特に、シート下の収納スペースの広さや、追加できる大容量の収納ボックスなどは、大きな体格を持つフランス人にとって魅力的です。日本のバイクメーカーの中でも、YAMAHAのT-MAXやトリシティ、そしてHONDAのFORZAなどがよく見かける人気モデルです。パリでは特に黒いバイクが支持されており、路上で駐車されているバイクの多くが目立たない色を選んでいます。派手な色のバイクは少なめで、控えめな色彩が好まれる傾向にあるようです。

一方で、SUZUKIやKAWASAKIのバイクはパリの街中では比較的少なく見られます。この選好の違いは、ブランドイメージ、性能、そしてバイクの用途に対するフランス人の具体的なニーズが反映されている可能性があります。

ロングスクリーン率も高い

パリでは、ロングスクリーンを装着したバイクの割合が日本と比べて著しく高いことが注目に値します。この現象は、A1ライセンス対象のバイクにおいても同様で、多くのライダーが風防効果を高めるためにロングスクリーンを選択しています。特に小さなバイクでは、透明なロングスクリーンの装着が一般的です。この傾向は、パリ特有の気候条件や、街中を快適に移動するための必要性から生じている可能性があります。

ロングスクリーンの高い装着率は、風や天候からライダーを保護するという実用的な目的に加え、エステティックな側面も影響しているかもしれません。透明なスクリーンは、バイクのデザインを損なわず、同時に視界を確保しつつ保護機能を提供します。このように、パリのバイク文化では、機能性とスタイルが絶妙に融合していることが見受けられます。

まとめ

パリの街角で目にするスクーターの光景は、ただの交通手段以上の物語を語っています。バイクカバーのほとんど使用されない風景、大型で装備が充実したスクーターの人気、そしてロングスクリーンの高い装着率は、パリ独自のバイク文化の一端を示しています。これらの特徴は、パリの気候、市街地の地形、そしてフランス人の生活スタイルと深く関連しており、バイク選びにおいて実用性とスタイルがどのように統合されるかを示しています。

パリにおけるスクーターの使用は、単に移動の便宜を図る以上の意味を持ちます。大型スクーターの選好、目立たない色のバイクへの傾向、そしてエプロンやロングスクリーンなどの特定のアクセサリーの普及は、パリジャンが自らの安全、快適性、そしてエステティックをどのように重視しているかを物語っています。また、これらの観察からは、パリと日本のバイク文化の間に存在する興味深い違いも浮かび上がります。

このブログを通じて、パリのスクーター文化の多様性と豊かさを紹介し、読者に異文化間の比較を通じた新たな視点を提供できたことを願っています。パリの街でスクーターを眺める際には、これらの特徴を思い出し、それぞれのバイクが持つ独自の物語を感じ取っていただければ幸いです。

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